KYな阪神ファン

 20時43分に電話のベルが鳴った。
 そのときボクは、落ち着いた照明が暖かな雰囲気を醸し出している静かなバーでカクテルグラスを傾けながら、同僚と前衛芸術について議論を交わしていた、というのはウソで、会社近くの居酒屋で生中を飲み干しながら「ガンダムは全長18メートルでZガンダムは22メートルだ」などと熱く語り合っていた。

 pi

「先輩! 教えてください!」
「おお、後輩、岡山の道の駅にあるZガンダムは実寸大だったか?」
「いや、あれは1/3です。そんなことより」

 pi

 ごめんごめん実寸大じゃなかったよあんなにでっかく見えたのに、と同僚に詫びていたら電話のベルが再び鳴った。サイレントにしていなかったため、迷惑になるので仕方なく出ると後輩がなぜ切るんですかと怒りの言葉を向けてきた。

「今手が離せないんだよ」
「こっちはせっぱ詰まってるんですよ。教えてください。うちに来た新井選手の誕生日っていつなんですか」
「検索しろ! Biglobeストリーム!」

 すぐさま電話を切り、サイレントに設定してカバンに放り込んだ。
 まったく、阪神ファンは空気を読まない。カープファンに新井のことを尋ねるなんて、ユダヤ人にヒトラーの好物を尋ねるようなものだ。弱いチームのファンがあの性質であれば微笑ましいが、現在のようなチームであの性質は手がつけられない。
 会話に戻ると、すでに内容はガンダムからコンバトラーVに移り、超電磁竜巻、と合唱が始まっているところであった。もう少しガンダムの話をしたかったのに、これも阪神ファンのせいだ、とボクはいっそう阪神への恨みを深めるのであった。

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ホワイトプラン

モンタギュー家とキャピュレット家で有名なソフトバンクのホワイトプランですが、通話料が安くなるんですね。使い方によっては持ってて損がないじゃないですか。自分はドコモなんですが、最近ソフトバンクが気になってます。

いや、シャア専用携帯が気になっているわけでは。ない。こともないというか。

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かっこよさが 2 さがった

自分が出社した途端、同僚がものすごい勢いで近づいて来ました。

「髪染めました?」
「この年齢にして思春期だとでもお思いか」
「そうですよね。変わってないですね」
「いかがした」
「いや、光の加減なのでしょうか。さきほど入ってきたとき、ひどく男前に見えたんです。あんな人だったかなとおののきました。でも、近づいたらいつも通りでした。あの瞬間、あの角度、あの光加減のときだけでしたよ」
「えーと、それは殺してくれって言ってる?」
「はっは。ご冗談を」

今日は朝からローテンションになる問答からはじまったことを思い出して、ハイテンションになっています。こんばんは、志賀です、おはようございます。
野球選手はある瞬間に、容姿の美醜を問わず男前になります。猛虎戦士となった新井選手の過去の話ですが、たまにひどくかっこよく見えたことがあったなぁ、と思い出しました。でも、もう新井選手が男前に見えることはないのだろう、と考えると、不思議なものです。ニンゲンを形作るのはココロだということでしょうか。

来季のカープはイケメンパラダイス。
これから『花ざかりの君たちへ』の最終巻を読みます。あでゅー。

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投手が欲しい

携帯電話が亡き王女のためのパヴァーヌを奏でたとき、ボクはMARIAGE FRERESのWEDDING IMPERIALを片手に、メルロ=ポンティの『知覚の現象学』を開いて無数の習慣の蓄積について思索に耽っていた、というのはウソで、『花ざかりの君たちへ』(愛蔵版)に満載されているツッコミどころに腹をよじらせていた。

Pi

「ああ、よかった、新井がFAしたから自殺してるかと思いました」
「俺は……俺は、」
「ヒイロのセリフなら不要です」

不要とはなにごとだ。ボクは憤然として、ガンダムWの主人公であるヒイロが最初は自分の命を軽んじていたこと、完全自爆マニュアルを読んでいそうだったこと、最後の戦いの前にも死ぬ気だったこと、そんな彼が最後の最後に生への執着を見せ「俺は死なない!」と叫ぶシーンが熱く燃えるのだということを言い募った。

「ガンダム00(ダブルオー)の刹那に足りないものはヒイロのようなはじけ具合だ。キャラが立っていないと背景になってしまう。全員がそうだが00は誰が誰やらまだわからん」
「多田野は日ハムだそうですよ」
「な、なんだってー!」

そんな、どこかホmあ、いや、男同士の係わり合いを前面に押し出し気味だと多くの人から思われてるような思われてないような作品がちらほら見えている中からこんにちは。志賀です。
最近会話の中で、あ、あのセリフが言える! と思いつくけど一呼吸あけてしまうと「言わんでええ」と遮られることが増えたような気がします。世知辛い世の中です。

多田野投手、指名すると聞いていたので日ハム1巡目で残ってなかったのが残念でなりません。まあ仕方ないんですよねー。あああ。篠田投手が競合の中とれたってのは大きいんですけど、もう一人くらいは。欲しいのは即戦力の投手ですから。外国人で何人かとってくるんでしょうけど。むむぅ。ミンチーやベイルやチェコくらいにやってくれる投手が一度に来てくれたら。

まぁ、こんな風に喋ってますけど、多田野投手も篠田投手もろくに見たことありません。評判になるくらいだから、たぶんすごいんでしょう。いや、きっと。ま、来季は篠田投手は見れますしね。怪我さえなければ、一度も一軍にあがらず終わるってことはないでしょう。楽しみにしてます。

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Mたちのゆうべ

最近、後輩が私に対して心理テストを試行しました。
いわゆるSかMかを判定するテストだったらしいのですが、私は、彼が言うには

「こんな人見たことない」

と驚愕するくらい真性のMだそうです。
当然私は憤慨しました。
肉体的にいじめられるのは嫌いだし、精神的にも、もし陰湿なイジメなどにあったらそれ以上の陰湿さで仕返ししてやろうと思うというか絶対にするタイプだと自分では思っています(実際そういう目に遭ったことがないので分かりませんが)。常にSでありたいと志す者なのです。いじられるのも、そこに愛があれば可だとは思いますが。

「ほら、墓穴掘った」
「いや、違いますって、自分エスなんです」
「もういいって」

主張をすると、このように返されてしまったことを思い出します。
こんな話をした数日後、下記のメールが来ました。

『あなたのアドレスが女子トイレの壁に書いてあったけど?
何でも言うこと聞くドM男君ってホントなの!?本当なら…。』

こんなメールを書きそうな人物を一人知っています。
問い詰めてやろうと思いました。

「きみ、こんな迷惑メール送ってきたろ」
「送ってないよ」
「いいや、送ったはずだ」
「送ってないよ」
「うそだ」
「ああ、嘘だッっ!!!!」(ひぐらしモード)

なんかこうなりそうなのでやめときました。
恐いよ。
……あ、ほら、やっぱ自分、エムちゃうやん。もしそうだったら、こう切れられたいがために問い詰めるはずだから。はは、良かった。だから心理テストなんて信用出来ない。
ただ、今の私の職場はS属性の人間が多いというか、ほぼ全員がSで、しかもドSなので、局地的に言うならば自分は相対的にMかもしれません。あくまで相対的に。絶対的評価ではSのはずです。まあ、Mでもいいんですけどね(どないやねん)。

つまり何が言いたいのかっていうと、みんな幸せにならなきゃいけないってことなんだ。

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なら、ない電話

 夜、携帯が小フーガ・ト短調を奏ではじめた。
 ピッ

「あ、先輩、お久しぶりです!」

 ピッ
 私は静かに受話器を置き、伊右衛門の入ったペットボトルを優雅に傾けながら『ふたりエッチ』の最新刊を手に高尚な思索に耽りはじめた。
 再び携帯電話が自己主張を始め、私の思考は現世へと引き戻される。

「もしもし」
「もう、先輩、おっちょこちょいですね。いま、間違えて切るボタン押しちゃったでしょ」

 いや自分の意思で一片の迷いもなく押したんだ、とは言えない。

「そうなんだ。すまなかった。お前からだと気づいていれば、出る前に切ったんだが」
「昨日ですね、熱田神宮に行って来たんですよ」

 なんのタイムラグもなく話を進められてしまった。相変わらずこの後輩は人の話を聞かない。ああそうなのか、と相槌を打つ間もなく、名古屋に行くのに特急で3時間かかったこと、熱田神宮ではよくわからないが何者かが舞いを披露する神事を催していたこと、きしめんの味が濃かったこと、いば昇のひつまぶしがカリカリで美味しかったこと、テレビ塔にミネルバからデュートリオンビームが照射されていたことなど、名古屋行がいかに楽しかったかを捲くし立てた。

「最後のが不可解だが、楽しかったようで何よりだ」
「先輩にわからないはずないでしょう」
「インパルスが受信してたアレだってことは分かるが、知らしめたい映像がまったくわからん。一人で行ったのか?」
「えへへ、それがですねぇ」

 とてもイヤな予感がした。

「秋月さんって覚えてますか?」
「……まさか、北の?」
「そうですそうです」

 衝撃を受けた。
 秋月さんとは大学で2学年下にいた、礼儀正しく、それでいて堅苦しくない、いつも微笑みを絶やさないキャラで人気のあった女の子のことである。私も初めて会ったときには言葉を失い、思わず膝を突いて十字を切り、この造形美を世に送り出した主に感謝の祈りを捧げたほどだ。

「なんでお前が、いや、彼女が」
「いやー、仕事で偶然再会しまして。何回かお茶とかはしてたんですけど、この前遊びに誘ったらオッケーしてくれたんですよー」

 でれでれとした声色が気に入らない。
 ああ、とても気に入らない。
 同じ大学を出て同じ大阪で仕事をしているというのに、後輩と私との差はなんなのだ。私はデスクトップ上にある『ひぐらしのなく頃に』の起動アイコンと、本棚の『フルメタル・パニック』一揃いと、ちゃぶ台に置いてあるスーパーカップ(とんこつ味)を見つめた。
 不条理だ。
 そんな私の内心も知らず、後輩は言い募った。

「待ち合わせには遅れて来たんですけどね、ごめんなさいって息を切らしながら謝ってくれて、それに、かわいかったんですよ! きっとおめかしに時間がかかったんですね」

 それはきっと、朝まで他の男の部屋にいたから遅れたのだよ、後輩。

「電車に乗ったときもですね、タルトを2つ買ってきてくれてて、一緒に食べよって言ってくれたんです」

 お菓子を受け取った相手がどのような反応を示すか観察し、人間性を把握しようとしていることに気づかないのか、後輩。

「行動は無邪気なのに知性を感じるんです。ああ、もう、幸せでした」

 むかし一緒にSMAP×SMAPの計算マコちゃんを見たこともあっただろう。それをもう忘れてしまったのか、後輩。

 今度また遊ぶ約束したんですよ、キャヒヒ、と無邪気に浮かれている後輩に相槌を打ちながら、私は憐憫と、そして涙が出るほどの羨望に囚われたのだった。
 明日は外に出よう。

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こんな上司

「3月の3日って休ませてもらってもいいですか?」

私がそう尋ねると、上司は眉をひそめた。どういう時期かわかっとんのか、あ、こら、お、こら、まわりの状況みて休めやボケが殺すぞ。そう思っているのがビンビンと伝わってきた。

「神戸のスカイマークスタジアムで所用があるのです」
「許す」

二つ返事でおっけ。
けっこういい上司かもしれない、と思いました。

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バレンタインの過ごし方

「そんなバカな。嘘だっ! あなたのような洒落て小粋な玉三郎がチョコをもらえないはずがありません。本当はどんなバレンタインを過ごしたんですか?」
というメールを誰もくれないので、自分で書いてみました。お答えします。

当然というべきか、本当は美しい花たちに囲まれて両手に花どころの話ではありませんでした。
具体的に言うと、左手には眼鏡の似合う可憐な花が一輪(取引先の部長・50代)、右手にはおしゃべり好きな大輪が咲き誇り(わが社の課長・40代)、正面には小粋なギャグで笑わせてくれる麗しき花(取引先の課長・40代)と素敵な環境で飲んでいた次第です。左前方には私に惚れ抜いているヒトがいて、「夜は寝かせないんだから! スタミナつけてね。ふふふ」と口にしたいのに出来ず「来週は徹夜さすけーの、体力つけとけよ。くけけけけけけけ」と素直になれないいじらしさを見せるツンデレすみれ草(わが社の係長・40代。みんなオッサン)が鎮座ましましてました。まさによりどりみどり。こんなにモテていいのだろうか、と嬉しくて、嬉しくて、あくまでも嬉しくて涙が出てきました。
私が父親になり、幼い息子を残して死んでしまうようなことがあった時の遺言は、その日決めました。

「わしがお前に望むことはひとつだ。……父さんのようにはなるな」

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本命チョコ

バレンタイン・デイが過ぎ去りました。皆様いかが過ごされたでしょうか。

言うまでもないことですが、私ほどの好人物ともなると、このバレンタインとは手提げ袋を複数用意しなければいけない日です。今までは。しかし、私も三十路が近づき落ち着きを身に付けつつあります。いつまでも複数の女性を相手にしているわけにはいきません。
言ってしまいましょう。

今年は14日にいただいたチョコはゼロでした。

私には心に決めた女性がいるので、他の方に本命チョコをいただくことを辞退申し上げたのです。この決意により、今年の獲得チョコ数はゼロになりました。この硬派な姿を見てファンが増えてしまったような気もしますが、それは仕方のないことです。太陽は皆から見上げられる存在なのですから。
勘のいいひとは既にお気づきだと思いますが、もし本命チョコを貰っていたとしても、今年の獲得チョコ数はゼロです。第一、ゼロってことは本命の人からも14日にもらえなかったってことですもんね。わーい。あっちゃんカッコイー!

なあ、雪穂。(チョコをくれず)俺を傷つけて去ることがアナタの優しさだったこと。今なら分かるんだけどな。

『白夜行』見てます。びっくりするんですが、原作まだ読んでません。テレビ見てから原作読んでみようと思ったのは、『魔法陣グルグル』以来です。

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究極の選択

上司に呼ばれました。

「おい、志賀、お前に一人配下の者をつけるとして、こーんな顔して(ぐちゃ)フゴフゴ言ってるけどすっごい仕事が出来る男と、ものすごい綺麗で、で、仕事がそこそこ出来る女の子とどっちがいい?」
「後者でお願いします」
「早っ。即答やったな」
「選択の余地がありません。猛省を促したいと思います」

来るのはまず間違いなく40くらいのおっちゃんだと思います。本当にありがとうございました。

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