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1/3の冷静な妄想

妄想と現実の間には、深くて暗い溝が横たわっている。
「夢の中で黒田との残留交渉成功させといたから。大丈夫、黒田はカープに残るよ」
と真顔で言われても、まともに取り合う人間はいないだろう。いたら是非トモダチになって欲しいところだ。しかしそんな人間は「で、いまカープは銀河の何分の一を制圧してるの?」と真剣な面持ちで尋ねてくるかも知れない。取扱には注意が必要である。

妄想でなら、どんなことでも可能である。
マツダなどに買収をしかけて数日のうちにカープ球団株を過半数確保し、自らがカープのオーナーとして采配を振るうことにはじまり、3000億円のポケットマネーを用いた大補強、施設の整備を行うこと、周辺自治体や輸送事業者、商業施設をまきこんだカープ応援ツアーを組織して連日市民球場を満員にすること、加藤あいをカープファンにして彼女にすることなど、自由自在だ。
そんなことを考えるなんて、と呆れる人もいるかもしれないが、自分は神の生まれ変わりである、自分には恋人がいる、クリスマスを一緒に過ごす相手に困ってない、などあり得ない妄想を吹聴する人が世間にもたくさんいることを鑑みれば、この程度は小さなものであろう。妄想ではなく現実と言ってもいいかもしれない。

「現実を見ろ!」
と説教する人を見かけることもあるが、しかし、現実とはそれほど尊い、唯一絶対のものなのであろうか。荘子は「荘周が夢を見て蝶になり、蝶として大いに楽しんだ所、夢が覚める。果たして荘周が夢を見て蝶になったのか、あるいは蝶が夢を見て荘周になっているのか」という説話を残している。妄想した世界が現実で、現実だと思っている世界が妄想の世界ではないと誰が言えるのだろう。
カープが11連覇していてあまりに強すぎるから、すこし弱くてあがき悶えているカープを見たかったSっ気のあるカープファンが妄想した世界が、「ココ」かもしれないではないか。

って、そうか、お前か、お前の妄想のせいでぇぇえええぇえええ! 1500秒で抹殺したらあああぁぁぁあああ!! うおおおおおおぉぉぉぉおおお!!!

と、いう以上の議論を踏まえて考察し、拡大解釈すれば、妄想と現実の間にはなんら境界線はなく、カープが実は優勝できるだけのチーム力を持っていること、黒田は残留すること、加藤あいがカープファンであることを信じていただけたと思う。もし信じないとしたら、その人は妄想力が発達していないのであろう。いつまでもそのままでいた方が良い。

私もこのところは妄想力の退化が著しい。一向に進展せず、栗原が異世界の神に力を借りたスイングをして宇宙の法則が乱れたところで妄想は止まっている。このままでいけば、カープ戦士が大宇宙の意志と試合をするのは30年後になるかもしれない。

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